瓦礫の中のピアノ教室

瓦礫の中のピアノ教室

私たちの心に深く刻み込まれた東日本大震災の被災地からこの夏、大切な友達がホームステイに来てくれました。大森ひなこちゃんとお母さんです。出会いは私が東北に復興支援に行った際に、まちを元気にしようと取り組まれた南三陸町の「南三陸さんさん商店街」を訪れた時のことです。遠藤水華里音楽教室の一員としてピアノのミニコンサートで素晴らしい曲を披露してくれたのがひなこちゃんでした。
 巨大地震と大津波で大切なものを奪われる被害にあった人は数えきれず、残念ながら遠藤音楽教室も例外ではありませんでした。先生は自宅も教室も津波に流され、教え子の一人も行方が分からなくなり、震災のショックでピアノに向かっても以前のように指が動かない状態が続いていたそうです。誰もがこれからの未来を描けない中で、ピアノを弾くことが出来ない先生の教室に大好きだったピアノをもう一度弾きたいと、一人、二人と子どもたちが集まりはじめ、生徒の自宅の一部を音楽教室として再開しました。
 また、大森さん自身も障害者福祉施設で働いていて、発災時は勤務先で、不安になってしまうとトイレに駆け込んでしまう利用者の子どもと、水圧で閉じ込められたトイレの中で天井に顔が付く寸前まで浸水してしまい、死の覚悟を決めた中で九死に一生を得たという話しをしてくれました。
 遠い地からの愛媛来県、夜は四国中央市でコンサートに出演するとのことで我が家の子どもたちと首を長くして待っていました。ひなこちゃんをはじめとする教室の生徒たちは、コンサートで見事な演奏を披露してくれるとともに、悲しみを乗り越え、復興に向けて元気に頑張っている姿を会場に駆け付けたみんなに見せてくれました。また、三島高校書道部からビデオメッセージとともに「とどけ未来への光」とした熱い思いが伝わってくる書道パフォーマンスも披露されました。
 「瓦礫の中のピアノ教室」のタイトル通り、まだまだ被災地での復興支援は進んでいません。瓦礫の処理も進まず、子どもたちの目の前に山積みにされています。しかしながら、復興をキーワードに被災地とそれを支援する地域との間に深い絆や固い信頼関係が生まれました。新居浜市内でもすでに何度も被災地の支援に向かった方々もいます。また、現地には行けないけれど新居浜から自分たちが出来る支援を続けている方々もいます。今も皆さんのまごころが日々、被災地に届いています。
 今回来県した音楽教室をはじめとする皆さんは「次は復興を果たして、報告を兼ねて愛媛に遊びに来たい。」と言ってくれました。復興への足取りはまだまだ道半ばです。これまでにできた絆を育みながら、東北三県がしっかりとした復興を成し遂げるまで、ひなこちゃんが笑顔でピアノを弾ける日が来るまで、皆さんとともに惜しみない支援を続けていきたいと思います。

三島高校書道部の作品です。


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